#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

デッドエンドに遭遇した時に、一発逆転で事態を打開する方法

長くて暗い、まるで迷路のような洞窟を進んでいた。うすうす感じていたことだが、私はすっかり進むべき道がわからなくなっていて、ただ、それを認めたくないがために、ただ闇雲に進んでいたのだった。しかし、手にしたライトの電池も切れかかり、食料も徐々に乏しくなってきた。ここで止まるのか?それとも進むのか?携帯の電波はとっくの昔に途切れている。

……行き止まりだ。 行き止まり。デッドエンド。 右を向いても道はない。左にもない。後ろにはただ闇が広がるのみ。上を向いてももちろん空なんてない。ただ最後に持っているのは、この世界を爆破してこの世界で「死ぬ」代わりに、リセットして一からはじめるというやり方だ。でもいつもここまで来るとデッドエンド。同じだ。進歩がない。私は焦った。まだこの先に、すごい世界が待っているはずなのに。何度も何度もここで諦めて、自爆ボタンを押してしまう。そして、全てやり直しだ。もうこれまで何回それを繰り返しただろう。1,2,3,4,…多分5回くらいはトライした。多分少しずつはうまくなってる。少しずつは前にすすめるようになってる。でもこの迷路洞窟だけが。どうしてもクリアできない。宝物も取って、賢者にも会って、呪文も手に入れたのに、どうしても前に進めない。

私は腰をおろして考える。考えろ、考えろ、考えろ。自爆ボタンは確かにここにある。もう何度も押した、そのボタンの手応えは、冷たくソリッドでいかにも実在するというたのもしさを持っている。このボタンを押すことなんていつでもできるんだ。でも押せば、この洞窟ははじけ飛び、私の肉体も全部粉々になってはじけ飛び、後には血だらけの肉片が残るだけ。またリトライすればいいって?人生って本当はそんなにゲームみたいなもんじゃないんだよ。人生は一回きりなんだよ!このゲーム脳め!!!!!

私は目をつぶって考える。何かこの状況を打開する方法が、必ずあるはずなんだ。

そうだ。

そこで閃いた。

書くんだ。

書くしかない。

書くことだけが、この世界と繋がっていられる方法だ。自分には、まだその方法が残されていたんだ。そう考えた時、ふっと真っ暗だと思っていた周りの洞窟の見え方が変わった。ほら。さっきまで漆黒だった空間に、光がさしている。やっぱり間違っていない。誰のためでもない。自分のために。自分が生き延びるために。ここから抜け出すために。空を飛ぶために。時間を巻き戻すために。不可能を可能にするために。書くのだ。