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#あたシモ

虹の向こう側

イーストLAの女性たちが自転車を通じてコミュニティを作るドキュメンタリー映画『オーバリアン・サイコ』がよかった!

フェミニズム ロサンゼルス旅行おすすめ 映画 レビュー 自転車

こんにちは、ロサンゼルスに移住したイチカワユウ(@yu_ichikawa)です!

ロサンゼルスのLGBT映画祭『OUTFEST』で観た映画のレビュー第二弾です。

オーバリアン・サイコは、イーストロサンゼルス(ダウンタウンの東側)にあるボイルハイツを舞台に、女性のための安全な空間を求め、「自転車」を通じて、コミュニティ作りをしている団体です。ライフストーリーと、オーバリアン・サイコに集まる女性たちの生活を通じ、彼らの暮らし、願い、そして夢などが描かれるかなりぐっとくるドキュメンタリーでした。

あらすじ

オーバリアン・サイコを立ち上げたチェラはシングルマザー。彼女の生い立ちには辛い過去があります。自らの家庭で起きた虐待の記憶。時には、野外で寝とまりしながらも、娘を育てあげ、今ではMCとして活動しているチェラは、女性たちの安全なスペースを取り戻すために「自転車」という手段を選びます。

「メキシコの本来の文化は、女性を大切するものだった。でも植民地化されたあとのメキシコの文化は最悪」「マッチョ」で男尊女卑的なメキシコの文化は、本来は異なったのだとチェラは語ります。

登場人物の一人イーヴィーは、「自転車に乗り始めたら、皆にジロジロ見られるようになった。自転車が男のやることだから?わたしが太ってるから?」と語ります。エルサルバドルの内戦から逃げてきた母親は、掃除婦として最低賃金に近い稼ぎしかなく、イーヴィーもコーヒーショップで働きながら家計を支えますが、家賃の上昇に苦しみます。

f:id:calibaby:20160817085741j:plain Photo By https://ovarianpsycos.com/

感想

非常ぉ〜に面白かったです。ていうか、このオーバリアン・サイコという団体自体がめちゃくちゃ興味深いので、それを取り上げたドキュメンタリー映画が面白いのは、当たり前ですね。

しかし、この映画を製作したのは白人女性たちでした。そのため、彼女たちに取材を申し込まれた時、撮影の許可を出すかどうかという点で、オーバリアン・サイコのメンバーには葛藤もあったようです。白人のクリエーターが、有色人種の人々の文化を利用して利益や名声を得るというのは、非常にありふれており、オーバリアン・サイコのメンバーもそのように利用されることを恐れていたのです。

OUTFESTでの上映後に、製作者やオーバリアンサイコのメンバーが出演したQ&Aがありました。そこで、「製作者のことを信用しだしたのはいつごろでしたか?」という質問があったのですが、それに対して「作品を観るまで信用できなかった」とか「別に今も信用しているわけではない」という答えがメンバーから出ていたのが印象的でした。

カメラを持ち「撮影する」側と、素材として「撮られる」間には、常に、権力関係が存在することを忘れてはいけませんね。しかし、チェラをはじめとするメインのキャラクターの生活に密着し、非常に感情的な瞬間を丁寧に取り上げているところは、なかなかやるなと感じました。時間をかけて撮影していることが感じ取れました。

オーバリアンサイコの特徴

オーバリアンサイコは女性に対するエンパワメントのための活動でもあるのですが、単に「女性」のグループではなく、有色人種にフォーカスをおいたものであり、さらにクィアネスにも自然と配慮されているのですよね。特にクィアな話ではないのですが、彼らの集まりは、意識的にクィアなメンバーを包摂するものになっているのです。

さらに、「自転車グループ」の話であるところが個人的には面白いです。日本にいた時から、自転車に乗るのが大好きだったので!

「自転車に乗る」それは、ある意味自由の象徴です。車がなくても、自分の足の力だけで、どこにでも行ける。そして、それはコミュニティによっては「男のやること」だと思われたりもします。日本では自転車は比較的老若男女乗るものだと思われているので、ピンとこない部分もあるかもしれませんが、ロサンゼルスのように、自動車社会で、「自転車」が実用品ではないコミュニティにおいては、「自転車は男がやるもの」というイメージが、より強いようですね。

オーバリアン・サイコのメンバーにとって自転車はお金のかかる趣味ではなく、移動手段でもありません。それは、自らが持つ力を思い出させてくれ、自信を取り戻すための手段なのです。自転車に乗る、というのは、元気が出ることであり、自分は自分の行き先を自分で決めてよいのだというパワフルなメッセージなのです。

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Photo By https://ovarianpsycos.com/

オーバリアン・サイコは、実在する団体でであり、今も活動しています。丁度今年も「クリトリスのミサ(すごい名前やなw)」という、一年に一度の大規模ライドを行なったところです。満月の夜に走るルナ・ライドなどは月一でやるそうなので、一度も行ってみたいと思います。

満月の夜に、女の子が集まってロサンゼルスの街を自転車で走り抜ける!

う〜ん、気持ちよさそう!

ぜひ、一度やってみたいです。

Ovarian Psycos Bicycle Brigade | Ovaries so big we don't need no balls!

評価

  • 元気が出る度 ★★★★★
  • 面白い度 ★★★★★
  • 自転車好き度 ★★★★

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