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#あたシモ

虹の向こう側

トランスジェンダー女性たちの恋愛模様を描いたウェブシリーズ『Her Story』が素晴らしいので皆見るべき!特にビアンの皆~!

トランス レビュー

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現在、第一シーズン全6話全てが無料公開されているウェブシリーズ『HerStory』が素晴らしいです!

herstoryshow.com

あらすじ(シーズン1のネタバレあり)

ロサンゼルスに住む二人のトランスジェンダー女性、ヴァイオレット(通称ヴァイ Jen Richards )と、ペイジ(Angelica Ross)。

ヴァイは、ブルックリンからロサンゼルスに引っ越してきたばかり。彼氏のマークと一緒に住んでいるが、実はトランジションの前には、女性とつきあっていた。

ペイジは、ラムダリーガル(全米最古かつ最大のLGBT団体)で、トランスジェンダーの権利のために尽力する有能な弁護士。男性との出会いは沢山あるのだが、長いことシングル。出会うほとんどの男性よりも成功していて、さらに黒人のトランス女性である彼女と真剣につきあえる相手はなかなか見つからないのだ。

そんなある日、ゲイ雑誌で働くレズビアンのライター、アリー(Laura Zak)はトランスジェンダー女性についての記事を書くために、通いつけの店で働いていたヴァイに取材できないかと思い立つ。トランスジェンダーの知り合いがほとんどいなかった彼女にとって、ヴァイオレットは唯一の取材相手だったのだ。

「あなたはトランスジェンダーですか?…こんな風に聞いて失礼でしたでしょうか?」

「いいえ。そんなにわかりやすくなければよかったのですけど……でも、決めつけられるよりましですね」

トランスジェンダーだということを「リード」された(見破られた)ヴァイオレットは、「自分はゲイではないのでごめんなさい」と取材を断るが、気持ちが変わり取材を受けることに。意外にもお互いとの会話を楽んだアリーとヴァイは、距離を縮めていく。

アリの仲間レズビアンたちは「トランスジェンダーの女は『本当の女じゃない』」「レズビアンは女を愛するということ」と、トランスとのつきあいを否定する。また、ヴァイには彼氏がいた。実はヴァイはかつてニューヨークでセックスワーカーとして働いており、彼氏のマークはその時の常連客だったのだ。

周りの状況にも関わらず惹かれあう二人の関係は?そしてアリの同僚によってアウティングされてしまったペイジの訴訟と、まだトランスであることを告げていなかった彼氏候補との恋の行方は?

感想

1話が7分程度なので、サクサク見ることができてテンポがよく、何より主役のトランス女性を演じる二人が実際にトランスで、アクティブに活動している役者でありアントレプレナーでもあるので、そういう、プロダクションの背景も含めてものすごく、説得力がありインスパイヤされます。

当事者が演じるリアルなキャラクター

そもそも『リリーのすべて』も『トランスペアレント』も、作品としてはものすごく好きなのですが、主役はシスジェンダー役者が演じています。『トランスアメリカ』もそうでした。シスジェンダーの役者がトランスジェンダーの役を「上手に演じて」、喝采を浴び、書く映画賞を獲るという構図には、以前から疑問を感じていたんです。フェリシティ・ハフマンエディ・レッドメインも大好きですが、トランスジェンダーの経験をシスジェンダーが奪いつづけるようなことになってはいけないと思います。

その点で、この二人のキャラクターがきちんとトランス当事者の役者であることはよいことだし、しかもこの二人は演技とかがきっちり素晴らしかったのもよかった。「トランス役者」というのを超えて、普通に魅力的だし、演技にも引き込まれました。

あと、このシリーズは、脚本もアリー役のローラと、ヴァイ役のジェンが二人で書いてるんですよね。まじ、多才すぎる……!

リアルな大人のストーリー

トランスジェンダーが登場する恋愛物というと「性別を超えた真実の愛の物語」的に必要以上に美化されてたり、ファンタジーっぽすぎたりするんですが、『Her Story』は美化されすぎていず、汚い現実も含めて、非常にリアルに描かれていて、共感ができるし、ものすごく好感が持てました。

この話はトランスジェンダー女性やクィア女性に特化した物語で、今のところFTMの話は出てこないんですが、レズビアンコミュニティーにとっては、FTMは割りと身近な話なのに、トランスジェンダー女性のコミュニティとの間には不思議な乖離があるように思えます。

冒頭が主人公のアリーが述べていたように、一般的な世界でのトランスジェンダーの話は少しずつ語られるようになってきてるとも思うのですが、「私たちのコミュニティーのなかでの話」となると、とたんに見えなくなる感じ、ありますよねー。普段LGBTLGBTと言っていても、特にそういう活動の場に行かない限り、普段のコミュニティーのなかでトランスジェンダーと関わっているレズビアンは少ないのではないでしょうか?

また、ヴァイが、クレイグスリスト(アメリカで人気のクラシファイドサイト)をブラウズする場面があるのですが、男性からトランスジェンダーへの誘いはものすごく多いのですが、女性からのトランスジェンダー募集は全然ないんですね。「わざわざトランスジェンダー縛りで探す必要がないから」ということも言えるかとは思いますが、レズビアンコミュニティ内部でのトランス蔑視描写と相まって、これは、レズビアンコミュニティが取り組むべき問題ではないかな?と感じました。

あと、個人的に興味深かったのは、トランジションによって、女性から男性とつきあうようになったヴァイの内面吐露ですね。「性指向と性自認は別のもの!」という建前はLGBTの基礎知識として広く共有されつつありますが、現実には、つきあう相手によって、自らのジェンダー自認が影響を受けるというのは、ありえますし、結構複雑な問題だったりします。

ここらへんの微妙な問題も含めて、いろいろ考えさせてくれます。あ、もちろん、シンプルなラブストーリーとしても楽しめますよ。『Her Story』はセクシャリティーや性自認に関わらず、どんな人でも楽しめるはず。個人的にはロサンゼルスが舞台なのは嬉しかったです★設定含めて、なんか個人的に大切な作品になりそうです。

全編英語ではあるのですが、YouTubeでは英語字幕を表示できるので、ぜひ挑戦してみてください!このシリーズが、テレビシリーズになって、もっと観られますように!

yuichikawa.hatenablog.com

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