#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

「最近は、日本でも同性同士で結婚できるんでしょ?」という疑問に答えるよ!

photo by Mike Licht, NotionsCapital.com

こんにちは、周りが同性婚ラッシュだけど、自分の結婚願望はないイチカワユウ(@yu_ichikawa)です。

このブログの検索語を見ていると、「女同士での結婚はできるのか」とか「同性同士で結婚しかた」を求めている人が多いようです。(絶対聞く相手間違えてる)そこで、今回は女同士に限らず、「同性同士の結婚」について書いてみます。

結婚とは何か

結婚とはそもそも何か。「結婚」って結構複雑な概念です。「同性同士で結婚できるの?」という質問に答えるには、結婚の「どの部分」を求めているのか、考える必要があります。ちょっと想像してみましたが、「結婚したい」そんなあなたの気持ちの中身はこんな感じなんじゃないでしょうか。

  • 「結婚式がしたい!」
  • 「周りに認めてもらいたい!」 
  • 「いざという時の備えがほしい」

それでは、これらの気持ちに答えてくれる「結婚」の効果について、同性間でも出来るものなのか、具体的に見ていきますね!

同性結婚式 → ほぼできます

ウェディングドレスが着たい」とか「結婚式でジーンとしたい!」と思ってる人、結婚式は、大抵の場合お金を払えば可能です。昔は、同性挙式と言えば海外のイメージありましたが、最近では日本国内でも増えてきたようです。東京ディズニーリゾートで挙式した増原裕子さんと東小雪さんや、女優の杉森茜さんと一ノ瀬文香さんなども話題になりましたね!

もちろん、宗教施設によっては同性間の結婚式を認めない場所もありますが、一般的にそのような宗教色の薄い日本のブライダル業界が「結婚式場が同性婚を認めてなかった」というのは、ほとんどにおいて単に「そういうニーズを想定してなかった」にすぎないません。きちんと顧客としてお金を出ば、やらないわけないですよ。彼らにとって、新しい「飯の種」ですからね。そう考えると「どこどこの式場は同性同士でも認めてくれました!」というだけで大感激するのもどうかなと思ってるくらいです。結婚式なんてそもそも「結婚式場」にお金を払ってやらなくても、海でやっても、山でやってもいいわけですし。

同性婚が可能な国で『マリッジライセンス』を取る」というような形で「ライセンスつき」の結婚式プランもありますが、日本が外国での同性婚を追認していない以上、こちらも儀式的な意味しかありません。そう書くと、「結婚式は実質的には意味なし」と言っているように聞こえるかもしれませんが、現実には、結婚式のような儀式は当事者にとって、大きな意味を持っていると思います。

社会的認知 → 一部できます

曖昧な概念かもしれませんが、 「周りにパートナーとして認められたい」とか「独身だと思われたくない」というのは、社会的認知を求めてるんだと思われます。これも、異性愛者の「結婚」というほどでないとは思いますが、一部得られるようにはなってきてると思います!上で述べた結婚式に家族や親戚などを呼ぶことで、「社会的認知」を得ることができるでしょうし、勤務先によっては、式をしていなくても、申請すれば配偶者に準じた扱いをしてくれる場合もあるでしょう。シリコンバレーの企業とか、やってましたね。

最近話題になっている地方自治体の交付するパートナーシップ証明書もここに入りますかね。証明書単体では「法的効果」までは行きませんが、公にパートナーシップを認知することにより、事業者に対して同性パートナーを配偶者に準じて扱うよう求めていくという意味で、社会的認知を増やしていくための一歩なのかなーと思います。

「法的効果ないじゃん」と言ってしまうと、無意味に思えてしまうかもしれませんが、決してそうではありません。社会的に認知されることは、当事者にとって非常に重要です。また法律は、結構社会的コンセンサスが規範力を持ったものという側面があるので、社会の見方を変えていくことは、実は、次に書く法的効果のためにも意味があると思います。

法的効果 → 一部できます

最後に、本丸ともいえる「いざという時の助け」。これは、「法的効果」を求めてるんだと思われます。うえで述べた「社会的認知」は、何かあった時の強制力の有無です。一旦配偶者としての権利や義務などの「法的効果」が発生すると、義務が履行されない時や、権利が侵害された時に、一定の行動を相手や第三者に対して求めるなどして、権利の回復を求めることが可能になります。具体的には同居・扶養義務や、婚姻費用分担義務、財産分与請求件、相続権などがあります。

日本ではこのように、「各種法的効果のパッケージ」としての「結婚」を同性間ですることはまだできません。その代わり、以下の様な制度を利用して、パートナーとしての権利を実質的に守ろうとする試みがなされています。

・養子縁組 --本来はパートナーシップのための制度ではないのですが、「親子」になることで、結婚とほぼ類似の親近者としての権利を得ることができます。

・公正証書 --二人の間でのさまざまな分野な権利関係(費用負担や財産分与など)の内容を二人で契約し、それを法律の定める手続きに則って「公文書」という形で作成することができます。通常契約は口頭でも成立するものなのですが、それだと、トラブルが発生した時に「本当にそういう契約をしたんだ」と証明するのが大変です。証拠を揃えて裁判とかしなきゃいけませんからね。公正証書があると、契約違反があった時に、裁判を経ずに強制執行手続に移ることができます。

・(番外編)パートナーシップ制度 -- ちなみに、今日本にはありませんが、諸外国で認められている「パートナーシップ制度」も、こちらに入りますね。これは、パートナーシップ制度だからといって結婚と同じ権利が自動的にもらえるわけではなく、具体的にどの権利がパートナーシップ制度で保障されるかは、国や地域によって異なります。カリフォルニア州は、同性婚が認められる前から、名称以外は結婚の同等の義務と権利が得られるパートナーシップ制度がありました(移民法については連邦法の管轄だったため、そこは差がありました)。


「結婚」は、このようにさまざま側面からの意味が重なって形作られています。上では便宜的に3つに分けましたが、実際には、この3つも複雑に絡み合っていますし、はっきりと分けられるとは限りません。

例えば「結婚式」を家族や同僚を呼んでした場合、そこで「社会的認知」が生まれる場合もあると思いますし、「結婚式」と同時に、婚姻届を出すなどの「法的効果」を生むアクションをする場合だってあると思います。「社会的認知」のために「法的書類」を要求される場合もあるでしょうしね。また国によっては、結婚の届け出のために「儀式」を要求するところもあります!←カリフォルニア州がそうです。二人だけで届けだして結婚できません!その場で簡単でもいいので「マリッジセレモニー」をしなければいけません。

「結婚したい」と思っている方は、もちろん、これらを総合した意味での(男女間の結婚と同様の)「結婚」をなんとなくイメージしているのしょう。しかし本気で「結婚」をしたいなら、今一度、「具体的には、結婚の『どの部分』を求めているのか?」をつきつめて、彼女と一緒に考えてみてはいかがでしょうか。

「二人だけの海外挙式」を楽しむのか。 ウェディングドレスを着て写真だけ撮るのか。 まわりに「うちの嫁」アピールをしまくって、バカップルキャラを勝ち取るのか。 行政書士に相談に行くのか。

全部やっちゃうのか。 どの順番でやるのか。

夢は広がりますね。「同性同士の結婚」情報を求めて、このエントリにたどり着いたあなた、ぜひ頑張ってください!

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