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#あたシモ

虹の向こう側

「ゲイが家族を破壊する」だって!?敬虔なキリスト教徒の大家族TV番組で人気のジョシュ・ダガー。妹らへの性的虐待に加え、不倫サイトの有料会員でもあったことが発覚!

アメリカ クィアライフ

The Duggars: 20 and Counting!: Raising One of America's Largest Families--How they Do It

ざっくり言うと

「敬虔なキリスト教徒の大家族」TVで人気のジョシュ・ダガー。妹らへの性的虐待に加え、「不倫サイト」の有料会員でもあったことが発覚。「家庭を壊す」として反LGBT的な言動を繰り返してきたジョシュ・ダガーの行動に批判が集まっている。

ダガー一家って誰?

ダガー一家は、2015年まで7年間放映されていた『19 Kids and Counting』という大家族系リアリティ番組の主人公だ。

アーカンソー州北西部のトンティタウンで暮らす、ジム・ボブ・ダガーさんとミシェルさん夫妻は「独立系バプティスト」という非常に保守的キリスト教信者。「生まれる子供の数は、神様が決めるもの」ということでもうけた19人の子どもは全て学校ではなく家庭でキリスト教の教材を使って教育。テレビや映画などのエンターテイメントも制限して、「神の御心に沿って」厳格に育てている。

日本でいうと、『ビッグダディ』なのかなぁ? まあ一部には人気者なんだけど、このダガー一家が、今スキャンダルに揺れている。

アンチLGBTなダガー一家

ダガー一家のアンチLGBT的な言動は、度々物議を醸してきた。

ミシェル・ダガーは地元の地方自治体において、性指向及び性自認に基づく差別禁止法が制定されそうになった時、以下の様なトランスフォビックな録音メッセージを使って政治活動を繰り広げた。

「男が女性トイレに入ってくることを認める法律に反対しましょう!過去に子どもを虐待したような犯罪者が『自分は女だ』」といってトイレに入り込んできます!」

一家のFacebookページは「結婚しているカップルのキス写真」を投稿するように呼びかけておいて、同性カップルの写真が投稿されると削除してきた。

長男のジョシュ・ダガーは「アンチゲイヘイト団体」とされるキリスト保守団体 「Family Research Council」に勤めていて(現在は後述するスキャンダルのため辞職)「子どもには母親と父親が必要だ」とシングルペアレンツや同性カップル家族の 批判とも取れる発言をしていた。

まあ「保守派のキリスト教徒」であれば、ここらへんはあまり驚かないかもしれない。これらのアンチLGBT的な態度が原因で、ダガー一家の番組を打ち切りにするための署名が呼びかけられたことがある。しかし、すぐに「ダガー一家を支えよう!」というカウンターの署名も始まった。署名だけでは、ダガー一家を「お茶の間の人気者」の座から引きずり下ろすことはできなかった。……その時はまだ。

性的虐待疑惑

2015 年5月ダガー一家の長男ジョシュ・ダガーが10代の時、妹4人を含む5人の少女に対して、胸や性器に触れるなどの性的虐待を複数回働いていたことが雑誌『InTouch』 によって報道された。

問題は、家族や周りの大人がこのことを知っていたにも関わらず、情報を隠そうとしたことだ。家族や教会のメンバーは問題をうちうちで対処することにした。しばらくしての父親から通報を受けたハッチェンソン刑事は、本当ならアーカンソー州 の児童虐待ホットラインに通報義務があったのだが、ジョシュを「しっかり説教」しただけで何ら公的な懲罰は課さなかった。(これは直接関係ないことだけど、その後、 ハッチェンソン刑事は別件の児童ポ儿ノ事件で逮捕され、56年の判決を受けて現在は服役中)

「大家族のダガー一家」がテレビ番組を通じてどんどん人気者になる間にも、この疑惑は表に出ることはなかった。

2006 年にダガー一家は有名なテレビ番組オプラ・ウィンフリー・ショーに出演する。その時、匿名のメールで番組関係者に性的虐待の告発があった。番組関係者は、捜査機関にこのことを通報。 ダガー一家の出演は取りやめになった。こうして警察のちゃんとした捜査が始まった。しかし、取り調べを受けた家族は皆、「ジョシュの過去の過ちを許している」と話し、また、アーカンソーの州法においては、児童への性的虐待の加害者への刑事責任の追求は、警察に通報してから3年以内に行わなければいけないため、結局ジョシュへの訴追はされなかった。でも、この時に作られた調書が後で意味を持つことになる。

ネットなど、ごく一部では「なぜダガー一家のオプラ・ウィンフリー・ショーへの出演が取りやめになったのか」と関連して、ジョシュの性的虐待の噂が流れ続けた。でも一般的には、ほとんど誰もジョシュの過去を知られることはなかった。ジョシュは「ダガー一家の長男」としてテレビに出演し続けた。

しかし、2015年に雑誌『InTouch』が今年スキャンダルを大々的に報道。情報公開法に基づいて入手された警察の調書を基に、ジョシュの性的虐待の事実が明らかになった2ヶ月後、テレビ局TLCは2008年から続いてきた番組の打ち切りを正式に決めた。

……でも、ジョシュ・ダガーの秘密はそれだけじゃなかった。

「人生一度。不倫をしましょう。」とうたう出会い系サイトの個人情報流出

アシュリー・マディソンは、「人生一度。不倫をしましょう」という刺激的なキャッチコピーで話題になった不倫専門の出会い系サイトだ。この7月ハッキングを受け、会員の個人情報が盗まれたのだが、今月になってその個人情報がインターネット上に公開された。一体誰がこの「不倫願望サイト」に登録をしているのだろう?

3700万人の会員情報のなかで、一番初めに人々が気づいたのが「ジョシュ・ダガー」だった。

えっ!これって、ダガー一家のジョシュ?

「結婚は神聖なものだから」って婚前交渉を否定し、避妊や中絶を否定し、同性婚を否定してきた、子供の頃、うっかり間違って、4人の妹のことを性的に虐待した、あの超保守的なキリスト教信者の、「家族の価値活動家」のジョシュ・ダガー?

アシュリー・マディソンの課金システムは、月額制ではなくて、女性と会話するためにポイントを使うポイント制度だ。ジョシュのアカウントは、これまでなんと、$986.76(約12万円)も使っていた!

ジョシュは、ダガー一家のウェブサイト上で「偽善者でした。家族の価値と信仰を支持しながら、わたしはこっそりネットでポ儿ノ動画を観てしまい、中毒になってしまい、妻を裏切ってしまいました……」と声明を発表した。

「お、偽善者だったことを認めてるじゃん」と思いながらも、よくよく見ると、「何か妻を裏切ったいのはネットにポルノがあるせい」ってネットのせいにしてるっぽくも読めるし、数時間後に、文章を消したり、編集したり。やっぱり潔くない。今は、動画中毒のところは消されて「妻を裏切ってきた」という文言だけになっている。

 ジョシュ・ダガーに言いたいこと

「許してください。わたしの妻と家族のために祈ってください」

と書いてるけどさ。

別にわたしたちは許したりする立場じゃないと思うんだよね。神様じゃないし。あなたが、善良なキリスト教信者のふりをしながら、動画を見ようが、婚外交渉しようとしようが、ぶっちゃけどうでもいい。あ、妻に嘘をついて傷つけたり、子供の身体に勝手に触ったりすることは許されないけど。でも、過去の過ちを反省して、手続きに則って裁きを受けたり、自分なりに責任を果たしているなら、それはそれでいいんじゃないって思うよ。他人が批判したりするものじゃない。

問題はさあ。

「家族の価値」「家族の価値」っていって、LGBT差別禁止法に反対したり、同性婚の反対運動をやってきたようなことなんじゃないの?

  • 同性婚を求めたゲイカップルが、あなたの家族を傷つけた??
  • トランスだからって解雇されないようにすることが、あなたの結婚を壊した??
  • あなたの家族に危機をもらたしたのは、あなた自身じゃないの?

わたしが聞きたいのはさ。「もう浮気しません」とか「それでも神を信じています」とかじゃなくてさ。そういう、自分が「家族の価値」という言葉を使ってまったくの他人の生き方を否定したり、法的な不平等を支持したりしてきたことへの反省だよ。

「家族の価値」について考えてきたなら、そのことについてよーくよーく「自分の頭で」考えて欲しい。

レッド・ステイツの真実 ――アメリカの知られざる実像に迫る

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8/25追記

スキャンダルを受けて、ジョシュ・ダガーと妻のアンは人目を避けて、アーカンソー州の山奥の農園に閉じこもっているという。アンの兄は「あの豚を家族から追い出してやる!」とFacebook上でジョシュの批判を続けている。