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アメリカで働くレズの徒然

ノースカロライナ州の「反LGBT法」の中身って何?企業の反応は?この後どうなるの?

photo by JeepersMedia

ノースカロライナ州で、先週水曜日に、反LGBT法とされるH.B.2が可決、即日パット・マクロリー知事が署名して成立しました。

「公共施設のプライバシーと安全法(Public Facilities Privacy & Security Act)」と呼ばれるこの法律は、人々が生まれた時の「生物学的性」に基づいたトイレの使用を強制することで、トランスジェンダーの人々が自認するジェンダー用のトイレを使用することを禁じ、地方自治体がLGBTについての反差別法を作ることを禁止するものです(他にも退役軍人についての反差別規則を作ることや、最低賃金を上げることなどについての規制も含まれています)。特にトランスジェンダーの人々のトイレ使用が問題となっているので、「トランスジェンダートイレ法」とか呼ばれたりもしていますね。←さまざまなメディアが独自の名前をつけるのでわかりづらいw

マクロリー知事は、ツイッター上で「法律が、常識に逆らったことをして、男性が女性用トイレやロッカールームを使うことを許してしまった。これを止めるために、超党派のこの法案にサインをした」と発言しています。

どこから突っ込んでいいかわからないなーって感じなのですが、そもそも、トランス女性は男性ではありません。既に知らない/意識してしないだけで、もう、わたしたちはトランスジェンダーの人たちとトイレを共有してるんです。今、まさにトランスをして生活している多くの人々にとって「生まれた時の性別のトイレを使い続けろ」って強制することの方がよっぽど不都合な結果を生みます。

詳しくは、こちらの記事もご覧ください。

「常識」を持ち出すことの危険さ

マクロリー知事は、他のツイートでも「常識(common sense)」を連発して常識を法律にしただけなのに、なんで叩かれるんだ的な感じの発言をしていますが、「常識」ってそもそも何なんですか?

「常識」自体も時代や立場によって変わります。今50代の白人男性が持っている「常識」と、20代のアジア系移民女性が持っている常識は、全く違います。常識は一つじゃないんです。そんな流動的、かつ多数派が思う「常識」なんていうあいまいなものに頼っていたら、いつまでたっても少数派の人権保障はできません。

だから、わたしたちは一部の人々の「常識」ではなくて、一見常識からはずれるように思えても、皆が納得できるような憲法という原則を打ちたて、その憲法の精神にもとづいて法治国家を築くことを選んだのです。

アメリカ憲法修正第14条に定められている「平等」はそのもっとも重要な原則の一つです。

相次ぐ企業の反対

ノースカロライナ州の法律については、バンク・オブ・アメリカ、アメリカン・エアライン、デル、ユニリーバ、ホーム・デポ、マイクロソフト、ヴァージン・グループ、ポルシェ、ツイッター、コカ・コーラ、UPS、グーグル、デルタ、マリオット、ペイパル、IBM、アップル、AT&Tなどの大企業たちが反対を表明しています。NBAも、オールスターゲームの開催を引き上げる可能性があるとしています。

ジョージア州の時も、そうでしたが、差別的な法律に対して、迅速に反応する企業やスポーツ団体の姿勢は評価したいです。

と同時に、これらの企業は、今回の法律を提案し、賛成している政治家への政治献金をしていたりするので、手放しで「XX(企業名)はLGBTの味方!」というのもナイーブなのかな?とは思います(参考記事)。LGBTフレンドリーな企業が、イスラエル支援企業だったりもするわけだし。ビジネスや政治の世界はなかなか単純に割り切れるものではないですねー。

そして、法廷闘争へ

その後、28日アメリカ自由人権協会(ACLU)は、ノースカロライナ州を訴えました(参考記事)。今後本件をめぐる争いは、政治の場から法廷へと移動しますが、引き続き見守っていく予定です。

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