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クリプラ対エリオット・ペイジ?ヒルソング教会は「反LGBTQ」なのか調べてみた

Fame: Chris Pratt

クリス・プラットの教会問題が炎上しているので、日本語でまとめてみました!

※2022年5月2日追記:エリオット・ページの名前及び人称などを含む一部表記をアップデートしました。

ことの発端

クリス・プラットのテレビ出演

2月6日、出演映画『Lego Movie 2: The Second Part 』の公開を控えたクリス・プラットがスティーブン・コルベアの番組『The Late Show』に出演しました。

上のクリップでは、クリス・プラットが教会の牧師とともに、「ダニエルの食事」という聖書に基づく食事療法を21日間試したことを誇らしげに語っています。また、同じく教会で学んだ言葉として、名声を持つことの難しさなども語っています。

司会者のスティーブン・コルベアはリベラル派のコメディアンですが特にツッコミをいれることなく「いいね!」などと肯定しながら話を進めています。

エリオット・ペイジのツイッターでの批判

これに対して、トランスジェンダーとしてカムアウトしているカナダ人俳優のエリオット・ペイジがツイッターで投稿しました。

オー。ケイ。うーん。でも、彼の教会は反LGBTQで悪名高いのだから、多分そのことに触れてもいいのでは?

もしあなたが有名な役者で、あなたが特定のグループの人々を憎むグループの一員なのであれば、誰かが「そのことについてなぜ触れないのか?」と不思議に思うことで驚かないほうがいい。反LGBTQでいることは、間違っていて、そこに2つの立場などはない。それが生み出すダメージは深刻。全力でやめてほしい。皆に愛を。

これは、クリス・プラットが参加しているヒルソング教会(Hillsong Church)のことを指していると言われています。

クリス・プラットの反論

2月11日、クリス・プラットはインスタのストーリーに以下のような画像を反論の投稿をしました。

エリオット・ページの名前は出していませんが、彼のツイートの文言をそのまま引用して反論しています。ちょっと長いですが、紹介すると、以下のような内容です。

最近、僕が「特定のグループの人々を憎む」「反LGBTQで有名な」教会に属しているとか言われた。しかし、これは真実から程遠い。僕の通う教会は、すべての人に扉を開いている。

聖書に離婚について書かれていることにも関わらず、教会の皆はすべてのステップにおいてそばにいてくれたし、ジャッジされるようなことは一度もなく、ただ優しく僕が歩みをすすめるそばにいてくれた。彼らは愛とサポートをくれて、たくさんたすけてくれた。人の性的指向が何であろうと、人種や性別がなんであろうと、彼らはいつも他人にそうしてくるのを観てきた。

僕の信仰は大切なものだが、どんな信仰も僕や僕の生活を定義することはない。また僕は教会やどの団体のスポークスパーソンでもない。僕の価値観が僕という人間を決める。この世の中に必要なのは、憎悪を少なくすることで、増やすことではない。僕は、誰でも周りになんと思われようと彼らが愛したい人を愛する権利を持っていると信じてる。

神は言った。「新しい命令を与えます。お互いに愛し合いなさい」

これが僕の人生を導いてるもの。彼は愛、受容、そして許しの神様で、憎しみは、僕の世界にもこの世界に居場所はない。

主には「教会がゲイの人々のことを『憎んで』いる」と表現されたことが不満なようです。

ヒルソング教会の声明

2月14日、クリス・プラットの反論とは別に、ヒルソング教会が公式な声明を発表しました

ヒルソング教会は、誰に対しても、どんなグループに対しても反対する説教はしない。私達は「反XXXX」グループではない。私達は、包摂的なキリスト教会で、すべての人々をその背景、人種、心情、価値観、そして個人的アイデンティティに関わらず愛し、尊重し、受け入れる。

また、私達は同時に、世界中の福音主義キリスト教会の圧倒的多数、そして何百万人ものアメリカのキリスト教者が共有している聖書の価値観によりそう教会である。聖書の教えを信じ、同時にすべての人を—違う価値観を持つ人も含めて—愛するというのは、相容れないことではありません。それはまさしく寛容と包摂の定義なのです。

全文はこちらから読めます。

ヒルソング教会の同性愛に対する見解

ヒルソング教会は自らを憎悪(hate)と結びつけられることがとても嫌なようです。上の声明でも「ゲイの人々を含めすべての人を愛する」という反論をしています。しかし、わかりやすいのがヒルソング教会の創始者であるブライアン・ヒューストンの言葉です。

彼は「Do I Love Gay People?(私はゲイの人々を愛するか)」と題されたブログ記事で、全ての人々のことを歓迎するが、ゲイのライフスタイルを肯定しないと書いています。

We are a gay welcoming church but we are not a church that affirms a gay lifestyle.

また、同性婚についても「I do believe God's word is clear that marriage is between a man and a woman. (結婚は男女間のものであるという神の言葉は明確だと信じる)」と、同性婚を否定する見解を示しています。

また、ゲイは教会内で指導的な地位につくことはできないことも明記しています。

これで「ゲイを憎んでいないよ」と笑顔で言われても……って感じですよね。ニコニコしながら、差別は肯定しているわけです。……同性同士で生きるあり方を「ゲイの”ライフスタイル”」であると表現されること自体で、もうピンときて「ああ、はい。わかりました」という感じなんですけどね。

いわゆる「憎しみ」とか「愛」とか「反LGBTQ」か、とかそういうゆるふわな概念は一旦おいておいて、性的指向に関係なく法的に平等な権利や取扱を求めることに反対する団体というのは、やはりLGBTQコミュニティの権利を具体的に毀損していると思います。だって彼らが同性婚がまだ認められていない地域に存在したら、そこで同性婚を認めることには反対するわけでしょう?それって「差別の肯定」以外の何者でもありません。そのような団体を擁護するクリス・プラットのような信者たちも、ぶっちゃけ同罪だと思います。

クリス・プラットは『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』シリーズや「ジュラシック・ワールド』シリーズで好きだったのですが、今回の反応でがっかりしました。

若いセレブに人気の「ヒルソング教会」

ヒルソング教会は、ペンテコステ派の教会で、1983年に、オーストラリアでブライアン・ヒューストンによって設立された新興教会です。

教会の中ではコンサートのようなライティングでポップソングが流れ、牧師は、モヒカンだったり、タトゥーが入っていたり、スキニーで破れたジーンズにレザージャケットと、まるでロック・スターのようなのが特徴。これまでの教会のイメージとは全くことなるフレッシュな印象があるため、若い信者に人気です。

ジャスティン・ビーバーはヒルソング教会の有名人であるカール・レンツと親しくなって洗礼を受け、また、バネッサ・ハジェンズ、ニック・ジョナス、ケンダル・ジェンナー、セリーナ・ゴメスなども信者のようです。

ヒルサイド教会のバンドHillsong Young & Freeとステージで共演しているセリーナ・ゴメス。

「ヒルソング教会」のダークサイド

しかし、このように熱狂的な人気を集めるヒルソング教会には、いくつかのスキャンダルがありました。今回のように反LGBTQであるということに加え、公的資金を受け取りながら、多くの収益をあげているといった資金の不透明性や、創設者のヒューストンの父フランク・ヒューストンが7歳の男児を性的に虐待したのに、それを警察に訴えなかったという疑いなどです。

また、元信者たちからは「カルト的だ」という批判も出ています。

↑元信者の回想録。People in Glass Houses

ここらへんはサイエントロジーを思い出させますね。人が信仰や、何かスピリチュアルな存在にすがりたい気持ちはわかりますが、ゲイを「ライフスタイル」と言ってはばからない団体が勢力を増していることには、恐怖を覚えます。

↑元サイエントロジーの幹部たちがサイエントロジー内部を告発したドキュメンタリー『ゴーイング・クリア』マジで必見です。

www.atashimo.com

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