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アメリカで働くレズの徒然

(ネタバレ)ディズニー新作映画『ズートピア』を観て育つことのできる今の子供が羨ましい!大切なメッセージの詰まった最高の娯楽映画!

Zootopia Junior Novelization (Disney Zootopia)

ディズニー映画新作『ズートピア(Zootopia)』を観たので感想を書きます!

(以下ネタバレあるので、ご注意!)

【あらすじ】(ネタバレあり)

ズートピアは、人間以外の哺乳類が、まるで動物のように暮らす街。サハラ広場、ツンドラタウン・げっ歯類街、熱帯雨林地区などいくつかの地区に分かれており、肉食動物も草食動物も、皆仲良く「誰もが何にでもなれる」というスローガンのもと、平和に共存している。

うさぎのジュディー・ホップス(ジニファー・グッドウィン)は子供の頃から「警官になりたい」という夢を持っていた。「うさぎに警察なんて無理」という周りの目にも負けず、警察学校で人一倍努力をして、主席で卒業。「社会をよくしたい」という夢に胸を膨らませ、ズートピアへと向かう。

当時、ズートピアでは、動物が行方不明になるという事件が頻発していたが、ホップスは捜査に関わらせてもらえず、駐車違反取り締まり係になってしまう。思い描いた「警官の仕事」ができないことに落胆しながらも、ノルマを超える頑張りを見せるホップス。そんな時、知り合ったキツネのニック・ワイルド(ジェイソン・ベイトマン)はいい奴かと思ったら、夢も希望も失った詐欺師だった。がっかりするホップスだが、ふとしたことから、ニックが行方不明になっているカワウソ、オットーソンの手がかりを持っていることに気づく。

警察のボゴ署長から、「48時間以内にオットーソンの居場所を見つけなければクビ」だと言い渡されたホップスは、実は推理力が高いニックと協力しながら、行方不明のオットーソンの居場所を捜索する。

実はオットーソンだけでなく、行方不明になっていた動物は全て突然「野生化」し、獰猛な姿のままとある施設に隔離されていた。なぜか凶暴化したのは全て肉食動物のみ……。ライオンである市長は事態を把握していながらも、人口の1割ほどしかいない肉食動物の評判が悪くなることを恐れ、事態を隠蔽していたのだった。ライオンは更迭され、これまで存在感のなかった副市長のヒツジが市長となる。

事件を解決したことで、一躍ヒーローとなったホップス。記者会見で「肉食動物のDNAに刻まれた本性が現れてしまったのかもしれません」と発言してしまう。警察官の仕事に応募しようとしていたニックは、ホップスの発言を聞き、幼い頃に「肉食動物だから」という理由でいじめられたトラウマがよみがえる。「僕は肉食動物だ。僕が君のことを食べると思っているのか?」ホップスが親から「念のため」と渡され、持参していた「キツネ避けスプレー」にニックは気づいていたのだった。「それなら……肉食動物となんて、組まない方がいいだろ!」ニックは、警察官になったらというホップスの誘いを断り、姿を消す。

ジュディーは、様々な動物が共存していたズートピアの調和を壊してしまったと自分を責め、警官の職を辞して田舎に戻る。両親の「ニンジン農園」を手伝ううち、昔いじめられたガキ大将キツネと再会し、和解。そこで、動物が「凶暴化」するある原因を知る。ズートピアに戻り、ニックを探して真実を突き止めようとするジュディー。肉食動物「凶暴化」陰謀の黒幕は誰なのか?そして、ズートピアは、元のような肉食動物と草食動物が共存する動物の楽園に戻れるのか?

【感想】

面白かった!というか、これはね、本当にすごい。すごすぎます。

わたしの稚拙な言葉ではすごさが伝わらないので、ちょっと数字を出すと、ロッテン・トマトで好評価99%。さらに、公開週の興行収入では『アナと雪の女王』の$67.4Mを抜き、$73.7Mという歴代一位の記録を達成した……。ね、すごいでしょ。別に数字が全てじゃないのはわかるんだけど、数字に裏打ちされてると「すごい」といいやすい。とにかく、納得の超良作。

面白いだけじゃないんです、この映画。 あまりにもスマートなつくりすぎて驚愕です。

可愛らしい動物キャラクターたちや、ミステリーやアクションを散りばめた手に汗握る展開の裏には強烈なディズニーの「メッセージ」が隠されています。

どんなサイズの、どんな動物でも、なりたいものになれる。 夢を、諦めなければ。

ディズニー映画でお馴染みの「全てに挑戦する」「夢を忘れない」などの前向きなメッセージはもちろん。ここには「多様性」を祝福するという強いメッセージも含まれています。

ズートピアに住む哺乳類たちは、大きさも、動く速度も違い、皆それぞれの個性を持っています。そして、うさぎってこうだよねーとかキツネってこうだよねー。とか偏見が存在し、「誰もが何にでもなれる」という建前を掲げている「動物の楽園」ズートピアでも、ちょっとしたことで「やっぱり肉食動物はこうなんじゃ」という恐れに負けてしまったりするのです。理想を掲げ、ある程度まではうまくやっているけれども、どこかでなかなかうまくいかない。ズートピアと、多様な人種やジェンダー、そしてセクシャリティーの人々が生きる現代社会は重なって見えます。

この映画のよいところは、ものすごく「フェア」なところです。偏見や「こうあるべき」という固定観念に苦しんでいるのは、ただひとつのカテゴリに所属に属するものだけじゃないんです。肉食動物たちの恐れや、謂れ無き偏見に苦しんで職を追われていくようなありさまは、胸が苦しくなりました。

だから、ニックに注目すると、彼のストーリーもかなり泣かせるんだよね。でもニックはあくまで脇役。そこもよい。最後はきっちりと心温まる結末。こういうストーリーを楽しみながら育った子供は自然と多様性や、人を見た目で判断しないことなどを学んでいくのではないでしょうか?

わたしはそもそもディズニー映画を観て育ってないのですが、今の子供たちは、こんなに素晴らしい映画を観て育つことができるなんて、本当に羨ましいです!

ポップ・カルチャーの今が詰め込まれた旬な映画

もちろん、ズートピアのよさは、「真面目」なところだけではありません。この映画には、全然説教くさくなくてユーモアたっぷり。大人も楽しめるようないろいろな種類のジョークがちょこちょこ含まれています。

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まず、面白いのは、広告。上のポスターをよく見てみてね。Nikeの広告を真似た「JUST ZOO IT」だとか、クマが出てくるバーバリー風の「Bearberry」、人気ヨガウェアのルルレモンをパロった「LuLu Lemmings」、人気歌姫のガゼルが広告しているのはPreydaのバッグです。

そして、ポスターには載ってませんが、主人公ホップスが使いこなしているのは、アップルならぬ「キャロット」フォン。スマホの裏には、「かじられたニンジンマーク」が輝いています。

また、途中で海賊版DVDを売るキャラが出てくるのですが、そこで売られているのは……ヒットした映画のパロディーの数々!シンデレラファント、ジラフィック・ワールド、ストレイト・アウタ・ズートピア、…他にも、フローズンやベイマックスのパロディーもばっちりはいってますw

あと笑えるのは「ナマケモノが演じるDMV職員」!! ここは、予告編でもフィーチャーされていたのですが、アメリカに住んでいない人にとっては100%伝わらないジョークかもしれません。DMV(免許センター)ってホント、信じられないくらいお役所仕事で、ものすごーく職員の仕事が遅くて、とんでもない長時間待たされるのです!最近はオンライン予約システムの導入などで多少は効率化されてると思いますが……それでもDMVのひどい話はいくらでも出てきます!だからもうこのDMVのシーンは爆笑が止まりませんでしたw

あと、シャキーラ演じる歌姫ガゼルが人気者で、人々(動物)に大きな影響を与えているというところも、現代的でリアルでした。ガゼル自身は、直接ストーリーのなかに登場するわけではないのですが、彼女の発するエネルギーやメッセージは、常にズートピア住民に大きな影響を与えています。ホップスがわくわくしながらズートピアへと「上京」する時にiPod的で聴くのは彼女の「Try Everything」ですし、警察署ではゲイっぽい受付のチーターが、ガゼルと一緒に踊れるアプリをダウンロードして楽しんでいます。ズートピアが危機になった時も、彼女の語りかけに人々(動物)は耳を傾ける。そして、感動的なラストシーンでのコンサートシーンになるわけですが、現代社会におけるポップ・カルチャーの影響力の強さがよく現れています。

この映画は時代を超えても鑑賞に耐えるクオリティーの作品ですが、同時にものすごく2016年的の風俗を詰め込んでいるのが特徴でもあるので、数十年後観た時、ディズニーのアニメ映画のなかでも、ユニークな位置づけの作品として残っていくんじゃないかなー?と思います。

いやー、さすがディズニー!『アナと雪の女王』『ベイマックス』『インサイドヘッド』ときて、今回も期待通りというか、予想を大幅に上回る上質さで届けてくれました!

ズートピア最高です!日本では2016年4月23日(土)公開です。

www.disney.co.jp

【評価】

★★★★★

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